第23号(平成26年12月号)
健康情報拠点としての薬局・薬剤師
平成二十六年度の国の予算、そして来年度の概算要求に、「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業」という予算が計上されています。セルフメディケーション推進のための「健康ナビステーションの整備」、「在宅医療のモデル事業の実施」などの事業を行うとされています。この予算は、昨年六月に閣議決定された日本再興戦略の中に、「薬局を健康情報拠点として育成」が政策課題として取上げられたことに基づいたものです。
長く薬局をやっておられる薬剤師の方々から、「昔の薬局は、地域の人たちの健康相談にのっていたものだよ」という話をしばしば聞きます。最近は医薬分業が70%近くまで進み、処方箋調剤だけを行う薬局も増えました。しかし、高齢の薬剤師の方々に言わせると、処方箋調剤は決められた処方の中での指導になる、一般用医薬品の販売の方が、来局する人たちの体調を聞いたり、食事生活を聞いたりして、薬や健康の話ができる、というのですね。
それから、今年の三月、臨床検査技師法に基づく告示の改正が行われ、衛生検査所でなくても薬局で自己採血検査ができるようになり、血糖値やHbA1c、HDLコレステロール、LDLコレステロール、GOT、GPTなどの検査が行えるようになりました。アメリカでは、ノースカロライナ州のアッシュビルという町では、薬局の店頭で糖尿病患者に対する啓発、指導を行うプロジェクトが実施され、34%医療費が削減できたという成果をあげ、それを機に、同様のプロジェクトが全米に広がりつつあるそうです。
考えてみれば、病気に罹った人ばかりでなく、健康人まで出入りできる、地域の最も身近な医療施設は薬局しかありませんね。高齢化の進展によって医療費が増加を続ける中、医療費対策としても必然的な政策です。
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