第24号(平成27年3月号)
薬事法から医薬品医療機器等法へ
少し旧聞になってしまいましたが、昨年11月25日、薬事法が改正され、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と法律の名前が変わりました。長い名前のため、その略称をどういう呼び方にするか、議論になっているようです。法律上は、「医薬品医療機器等法」ですが、厚労省は、医薬食品局の課長が、「医薬品医療機器法」と呼ぶこととするが、「薬機法」でもよいと、と話したようです。
それはさておき、「薬事法」の名は、昭和18年制定薬事法が出発点です。それまでの薬品販売並薬品取扱規則(薬律)と、売薬法(主として市販薬を規制)、薬剤師法(大正14年制定)、麻薬取扱規則などの法律を統合して、「薬事法」とされました。戦時下の薬事法ですから、強兵策のための「国民体位の向上」、そして医薬品の安定供給確保が絶対的な目標でした。
戦後の昭和23年には、GHQの指示で、その戦時薬事法を全面改正して、旧薬事法が制定されました。さらに、昭和35年には、その旧薬事法を大幅に見直し、現行薬事法(すなわち現在の医薬品医療機器法)が制定されました。その年、同時に現行「薬剤師法」が制定されています。旧薬事法は、「薬事法+薬剤師法」の2法の性格を持っていましたので、2つの法律に切り離すことも大きな目的でした。昭和31年に、医薬分業法(医師法、歯科医師法及び薬事法の一部改正)が制定されており、これを受けて、薬剤師会などから2法分離の要求が強まったことも新法制定の理由だったようです。
この昭和35年という年は、「60年安保」の年でした。国論は二分し、国会は大荒れでした。その大荒れの国会で、現行薬事法案、現行薬剤師法案の審議が行われたわけです。ですから、2法は、国会会期末ギリギリで可決承認されました。
それから半世紀以上を経て、「薬事法」の名前が消えることとなりました。今回の薬事法の改正は、医療機器に係る改正、再生医療等製品の規制が主な目的でしたが、時の流れとはいえ、長年「薬事法」の名前に親しんできた者としては、感慨深いものがあります。
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