第27号(平成27年12月号)
かかりつけ薬局 厚生労働省が、10月に「患者のための薬局ビジョン」をまとめ、公表しました。ビジョンでは、2025年までに、全国57000の全ての薬局を、「かかりつけ薬剤師」のいる「かかりつけ薬局」になれるよう、必要な施策を講じていく、としています。また、「かかりつけ薬局」は、「高度薬学管理機能」と「健康サポート機能」をもつこと、そして、「服薬情報の一元的・継続的管理」、「24時間対応・在宅対応」、「医療機関との連携」ができることがその要件である、としています。
この「かかりつけ薬局」という呼び方ですが、実はそんなに新しいものではありません。日本薬剤師会元会長の佐谷圭一氏によれば、平成元年の夏ごろに、某一般紙の論説委員と話している中で、佐谷氏が「行きつけの薬局」といったところ、論説委員の方から「行きつけの薬局」じゃ一杯飲み屋みたいだから、「かかりつけ薬局」にしたら、と提案されたそうです。
「医者にかかる」といいますが、この「かかる」には、単に「医者に通う」ということではなく、自分の健康、生命に関わる“病気”への対処を医師に委ねる、という意味を含んでいるのでしょう。その意味で、単にいつも薬を買いに行く、貰いに行く「行きつけの薬局」ではなく、自分の健康管理や病気について、親身になって相談に乗ってくれる薬剤師のいる「かかりつけ薬局」を目指す、というビジョンの意義は、極めて大きいと思います。ビジョンのサブタイトルに『「門前」から「かかりつけ」へ』とありますが、私はもう一つ加えましょう。全ての薬局を『「行きつけの薬局」から「かかりつけ薬局」へ』。
「薬局にかかる」という言い方が日常語となるまでには、これから色々難題があるでしょう。まだまだ、やることがいっぱいあるなあ。
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