第2号(平成21年7月号)
タスマニアの黄葉 もとゆき会 会長 山本芳子
今春、太古からの自然がそのまま残っているオーストラリアのタスマニア島を旅行してきました。南極ブナ(ファガス)や楡は黄オレンジ色に、ぶどう畑や柳やポプラの木はどこまでも黄金色に黄葉する秋にです。タスマニア島はオーストラリア本島から約240Km,南極まで約2000Kmの距離にある、北海道を少し小さくしたサイズの島です。北海道とは南北違いで緯度はほぼ同じで、時差は1時間と少なく、ジエットラグのない海外旅行地です。
気候は日本同様に四季がはっきりしています。少し違うところは、島の1割が温帯雨林気候です。また、島の三分の一が世界遺産自然地区に指定されています。今回は島に5泊し、ローセストン、クレイドルマウンテン及びホバートを中心に、国道1号線沿いの歴史ある小さな田舎町や村も観光しました。標高の高いところを除けば、どこへ行っても落葉樹が全て黄葉し、広大な秋彩にたっぷりと漬かることができました。勿論、マウントフィールド等の国立公園では、黄葉のほか、初冠雪の山あり、雨林の森あり、湖と川と滝など自然美はすべてそろっていました。
私の海外旅行の楽しみ方は、出発前に旅行雑誌に目をとおし、行間にイメージ旅行を創作することから始まります。ところが、雑誌には全く紹介されていない世界一が島には三つありました。一つは、もとゆき会が応援する藤井もとゆきさんが政策に掲げている「健康・安心、国づくり」の7番目の「薬物乱用の撲滅」におおいに関係することです。アヘンアルカロイドの合法的生産量が世界一でした。島内のみで14,000ヘクタールものケシを栽培し、50トン以上の無水アヘンアルカロイドをConcentrated Poppy Straw(CPS)法により生産しているとのことです。これは生アヘンに換算すると500トン以上に相当します。CPS法はケシ坊主に傷をつけず、栽培地で茎をつけたまま乾燥させ、粉砕して種子を分離した後、工場のプラントでもって各種アルカロイドを抽出する方法です。アヘンやアヘンアルカロイドの主成分のモルヒネは鎮痛薬として癌のターミナルケアに、また、アヘンから創製されるコデインは鎮咳薬として風邪薬に配合されるなど私たちに無くてはならない薬です。
二つ目は、空気が世界一ピユアなことです。こちらは実感しにくいところでしたが、その代わりに三つ目の世界一のアワビをつまみに、低温気候のタスマニアワインと地ビールを楽しんできました。 |