第9号(平成22年12月号)
三百七十四 もとゆき会 幹事 中谷博明
一年の日数を間違えたわけではありません。昨年の6月から8月にかけての2ヶ月間に、患者団体とか学会などから、自分たちの医療に使えるようにして欲しいと要望があった医薬品の件数なのです。
世界のどこかで最初に発売された医薬品が自国の患者さんにも使えるようになるまでの期間をドラッグラグといいます。どの国においても程度の差はありますが、ドラッグラグは発生しています。しかし、日本では欧米に比べてその期間が長いのです。平均して米国より2.5年ほど長いというデータがあります。
国はこのドラッグラグの短縮化に向けて、様々な取り組みを展開しています。タイトルに示した374もその取り組みの一つです。学会等から要望された、欧米では使用が認められているのに、日本では承認されていない医薬品とか日本でも承認されている医薬品でありながら適応症が違うために使えないといった医薬品374件を、早く患者さんに届けるようにするために、国では本当に必要かどうか詳しく調べました。4月と11月の2回に分けて、182件は開発する必要があると決定しました。
4月に決定された108件の内、91件は実際に製薬企業に開発要請をし、残りの17件については開発企業を公募しました。開発要請された企業は、1件を除いて全て開発すると回答し、作業に着手しています。また、公募品も1件増えて18件になりましたが、開発すると名乗り出た企業が続き、決まっていないのは4件になっています。
また、わが国では、医療保険で使える医薬品は国が薬事承認した医薬品に限られています。しかし、一定の手順を踏んで認められた医薬品については、薬事承認前でも医療保険で使える医薬品とするルールが8月に成立し、すでに10成分余りが使えるようになっています。
病気にならないのが一番ですが、病気になってしまった場合でも、諸外国で当たり前に使われている医薬品が、日本の患者さんにも普通に使えるようになるために、国と製薬企業が協力して取組んでいます。 |