第19号(平成25年11月号) 薬学生に接してみて
北海道薬科大学客員教授 岸田 修一
最近のJR北海道の事故多発、補修放置は、函館から札幌近郊まで時々JRを利用する者として、運休や事故の場所が人ごとではなくなりました。どうしてこのような乗客無視の事態に至ったのか。経営者、労働者双方がどう話し合ってきたのかと思わざるをえません。
ところで、厚生労働省在職中に薬学6年制問題に関わってきた者として、第二の人生を薬学生と接したいと思い、3つの大学の客員教授として、時々講義に出向き3年が経ちました。その間に多くの期待が込められた6年制薬剤師の誕生です。講義では6年制の1年生、4年生、6年生あり、4年制の4年生、修士ありと多彩な学生に出会います。学生を眠らせない理解しやすい講義に苦労の連続です。
学生の反応をみたり、話を聞いていると、4年制の学生のモチベーションが低く感じられます。また、4年+修士+αの薬剤師を目指す学生にも出会います。高校で進路を決める際の考え不足と言ってしまうには辛いものがあり、頑張れと励ますのが精一杯。4年制の定員が少なくないにもかかわらず、4年制+修士の研究者や製薬部門の技術者への道は限られています。MRがあるのではないかと思っていたら、製薬企業はMRに薬剤師を採用するという報道を目にしました。大学へ往復する中で色々な思いが頭を横切ります。
このようなミスマッチを防ぐには、高校生の進路選択の際にもっとわかりやすい情報が必要なのですが、どの情報が正しいのかの判断が難しいかもしれません。また、公的な機関が情報発信すれば、4年制大学の学生確保に支障をきたすような情報を提供するのも難しいでしょう。ミスマッチの学生を増やさないためには、4年制の就職状況や満足度をみて定員枠の早急な見直しが必要です。学生の将来が希望に満ちたものとなるよう、大学当局、教授が学生の将来を話し合い、対応してほしいです。しかし、実際には大学が自主的に4年制の講座を縮小するような自分達の首を絞めるようなことは期待しにくく、きっかけづくりには外部からの問題提起と働きかけが必要です。それには国会の場が最も相応しいのではないでしょうか。となればこれらの問題を熟知し、行動力ある藤井先生への期待が膨らみます。
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