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第37号(平成30年12月号)

因 縁・奇 縁

元長野県議会議員 もとゆき会会員 冨山 格

インフルエンザの季節になりました。日本発の抗インフルエンザ薬バロキサビル(baloxavir商品名は「ゾフルーザ」)が、世界的に注目を浴びています。これは、Cap-依存性エンドヌクレアーゼ(endonuclease)阻害作用(ウイルスの増殖に必要な酵素であるエンドヌクレアーゼを阻害する作用)を機序に持つ世界初の薬です。発想し、開発した企業の研究者には畏敬の念を禁じ得ません。

詳しい説明は省きますが、藤井議員が若い時研究に勤しんでいた頃に、Cap構造(リボ核酸が受ける変化の一つ)発見に絡んだ「因縁」が有った事をネットで知りましたので紹介します。

Cap構造の世界最初の発見者である古市泰宏博士が書いた、故野本明男博士の追悼文中に紹介されています。
(以下のネットアドレスでご覧ください)
https://www.rnaj.org/newsletters/item/125-memorial7

それは、古市先輩が若かりし野本明男にCap構造の検出方法を伝授しているときに、手早く自分の研究を終えた藤井基之、柴崎正勝等が「野本飲みに行こうぜ!」と頻繁に誘いに来て往生した!との冗談交りの記載があります。

柴崎正勝先生はご存じの様に一方のインフルエンザ薬である「タミフル」の新規合成法開発者として有名で、藤井議員は、タミフルの備蓄に国会でご尽力されています。この様にインフルエンザをめぐる「因縁」が学生時代に偶然あったのです。

故野本明男博士はその後、ポリオウイルスにはこのCap-依存endonucleaseが無い事を証明したことで高名です。そして、これらの業績で学士院賞を貰いました。柴崎正勝先生も合成分野で学士院賞を貰いかつ、毎年ノーベル賞候補者として紹介されています。

思えば、古市先生のCap構造発見が1975年頃、そして新薬となったのが2018年、その間約四十年以上かかっています。長かったのか? 短かったのか?

古市先生の論文は当時「The most cited paper」と絶賛を受けました。新発見が新薬に結びつくまでの困難さを物語る気がします。

しかし、この新薬が、20世紀初頭のスペイン風邪パンデミックの再勃発を防げれば「間に合ったか!」とも言えます。藤井基之議員には世界規模の備蓄を企画して欲しいと思っております。

ちなみに、古市博士、野本博士、今回の新薬開発会社社長手代木博士の3人は旧浮田忠之進研究室にこの順で在籍しています。これも「奇縁」だ。