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第6号(平成22年5月号)

医薬品アクセス

もとゆき会 顧問 市川和孝

今からもう30年以上前のことですが、私はインドネシアのジャカルタに駐在した経験があります。当時の仕事は医療分野などでの両国の技術協力を推進することでしたので、首都だけでなくスマトラ島など地方の医療施設を見に行く機会もしばしばありました。

もともと薬局などほとんどない農村部のことですから、地域の医療施設が医薬品供給の唯一のルートということになるのですが、これら施設の医薬品棚をみると例外なくほんのわずかな在庫品があるだけで、これで本当に住民、患者のニーズが満たされているのかと、いつも疑問に感じていました。

当時の日本は医薬品産業の成長期で、一部には薬の使い過ぎとの指摘もあったほどですから余計その差を感じたのかもしれません。

ここ数年、両国の製薬団体間の交流が活発になってきたことから、私は長い空白期間を経て再びインドネシアを訪問する機会が増えてきました。

現地製薬企業の方々によれば同国のジェネリック薬生産は年々増加しており、地方の医療機関を含めて供給上の問題は現在ではもうほとんどなくなっているとのことで、むしろその生産力を生かして日本に製品を輸出できないかと問いかけられたこともありました。

この国の場合は、問題解決に成功したケースですが、すべての途上国がこうはいかないところにいわゆる「医薬品のアクセス問題」が生じてきます。この問題は90年代の後半からエイズ薬などの特許の扱いをめぐる途上国・新興国政府と新薬開発企業との意見対立の構図の中で、にわかに国際社会の注目を集めるようになりました。

特許が邪魔になって安い医薬品を供給できないという主張です。しかしWHOが定める必須医薬品の8割はすでに特許期間が終了したものといわれています。医薬品の有用性は特許とは無関係なのですから、まずは必須医薬品の供給をどうしたら確保できるのか関係者に知恵をしぼってほしいものです。