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第10号(平成23年4月号)

故郷心と趣味

もとゆき会 副会長 中通慎二

私は、根っからの鉄っちゃんらしい。 少年期を過ごした実家は、広島の北部郊外を走る可部線というローカル線の線路際にあった。

その線路から我が家は、せいぜい5メートルの距離。生垣らしいものはあったが、その背丈は低く、しかも、我が家には雨戸という目隠しも無かった。

加えて、我が家から駅までは100メートルそこそこ。電車も加減速の真っ只中で、勢い、その速度はのろい。

そんなこんなで、夕刻には、家族が囲む卓袱台と質素な夕食が、家路を急ぐ乗客から、丸見えだったろうし、我が家からも、乗客の姿や表情が手にとるようにわかった。 他人に家の中を覗かれ、子供心にかなり恥ずかしかったことを覚えている。

こんな環境で育ったので、電車や線路にまつわる思い出は多い。線路に耳を当てて、近づいてくる電車の息づきを感じたり、線路際の小石を薪で作ったバットで飛ばしたり。近所のお兄ちゃんが面白がって線路に石を 置くのを、「いけん、いけん、そんなことしちゃ」と押しとどめたこともある。

中高は電車通学だったが、その接近を第6感で察知するや否や家を駆け出し、駅まで線路上を一直線、間一髪で電車に間に合ったことも。

悲しい記憶もある。飼ってた猫が、急に居なくなった。ふと、線路に目を遣ると、下半身を後方に残して、上半身だけの姿が目に飛び込んだ。前足をばたばたさせながら、必死に我が家に戻ろうと、もがいている。すぐに、近所の方の手で、庭に安置してもらったが、その凄まじくも哀しい帰巣本能は今でも脳裏に焼きついて離れない。

そして、このような体験が、私の趣味を鉄道に向かわせたのだろう。それもローカル線とか各駅停車といったユックリズムがいい。

出張時、ヒマを見つけては、電車に乗っている。車窓から里山を眺めたり、終着駅の喫茶店で地元の人の会話に耳を傾けたり、と小さな幸せに浸っている。

最近では、東京メトロ9路線全約150駅間を踏破した。無論、線路上ではなく、その地上を歩くのだが、 メトロ線沿いは、都心でありながら、住宅街や学校、商店街など生活感ある空間が多く、私のユックリズムと妙に合う。

この夏は、青春18切符というJR全線周遊チケットで東京ー広島の各駅停車の旅を計画している。愛猫の亡くなった線路に頬つけて、今一度、当時の辛く悲しい思いに浸ってみたい。