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第35号(平成30年4月号)

新たな産学連携によるイノベーション創出

もとゆき会会員(元明治製菓且謦役)飯沼勝春

「もとゆき会」の中通慎二会長とは明治製菓時代、当時、北里一郎社長(現在、北里研究所顧問、慶応義塾評議員)の元でともに医薬の研究開発に従事した仲であります。以前から藤井基之先生には医療行政全般、製薬企業における創薬のあり方等についてご助言賜り、大所高所からご指導いただきました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

今回、小生が慶応義塾大学医学部で関わっているJSR・慶応義塾大学医学化学イノベーションセンターの取り組みについて紹介させていただき、合わせて今後の産学連携のあり方について所感を述べたいと思います。

JSR株式会社と慶應義塾は、産・学・医療の連携拠点と位置付ける共同研究棟 「JSR・慶應義塾大学 医学化学イノベーションセンター」を設立して共同で運営し医療分野でのグローバルイノベーションの推進に取り組んでいます。

大学医学部と化学素材メーカーとのこのような連携は世界でも類をみない試みです。慶応義塾の医学部を開設された北里柴三郎先生の時代から、連綿と伝承されてきた理念である基礎から臨床まで一体型の先進的な医学・医療を展開している医学部および病院の研究者と、ライフサイエンス領域を戦略事業と位置付けて先端材料・製品の開発を進めるJSRの化学素材研究者とが密に連携することにより、医療分野の幅広いニーズや先進的アイディアを実現し、健康長寿社会を支える新たな診断・治療技術や医療支援技術の確立と普及につながる研究・事業創出を行います。

今年の日本化学会機関紙「化学と工業」の1月号に東京大学の菅裕明教授が「オープンイノベーション機構」大学内に新しい産学連携の場をつくれと題して論説を書いておられるように産学連携も最近では変化してきています。菅教授は、これまでのような一研究室、個人商店的な産学連携では、課題を本質的に解決できなくなり、複数の大学研究者が知恵を出し合い、チームを組んで企業のもつ課題を解決する「チーム課題解決型」連携こそが企業にとって大学との産学連携の最大メリットであると指摘しています。また、オープンイノベーションというと「大学一研究室」対「複数企業」と考えがちであるが、逆の「大学複数研究室」対「一企業」も極めて重要な「学内オープン」産学連携であるとも述べています。

小生も全く同感であり、この考えを取り入れたような先進的な産学連携が今まさに慶応義塾大学医学部において行われています。今後もこのような先進的な産学連携が他大学でも積極的に行われ「技術立国日本」の将来に資することを切に願うものであります。