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第38号(平成31年4月号)

人類(ホモサピエンス)の叡智と自然科学の発展

もとゆき会会員 高岡伸郎

私は、略半世紀前に大学の研究室にて、生化学の一端に触れた者ですが、その後の生化学の発展には、目を見張る物が有ります。取り分け、ゲノム編集の分野においては、九州大学石野良純教授の研究を基礎に開発されたCRISPR/Cas9の画期的な技術の出現に依り、この5年間で、加速度的発展が進んでいます。

私は、自然科学を勉強した者の端くれとして、人類の探求心と叡智によって齎される自然科学の発展こそが、人類を幸福にする最重要項目の一つであり、自然科学の発展に全幅の信頼を、置いてきました。

唯、今迄生きてきて、昨今の余りの急激な自然科学の発展を見ていると、人類の果てなき探求心と叡智に恐ろしささえ感じ始めてきております。思えば、人類の叡智は、前世紀に究極の兵器を開発してしまっており、世界には、約15,000基の核兵器が存在していると言われています。

ホモサピエンスは、約20万年前にアフリカで誕生して以来、気の遠くなる様な幾代にも渡り遺伝子を引き継いで、徐々に進化してきて現在に至っていますが、人類の果てなき探求心は、ゲノム編集の画期的発展と相俟って、やがて、究極の兵器と同様、究極のホモサピエンス即ち進化の最終ゴールを作り出してしまうのでないかという懸念を持ち始めております。

また、昨今のITの発展は、AIを齎し、また文化形成のプロセスをミームからトリームに変化させるという未曾有の画期的大変化を引き起こし出していますが、このAIの昨今の開発が、ゲノム編集の開発と同様、驚く程急速に進んでおり、私の懸念は、人類の果てなき探求心は、やがて究極のAIを開発してしまうのでないかという事であります。ホーキング博士は、完成したAIは人類を滅ぼすかもしれないと言ったとの事ですが、これが現実になりはしないかという懸念であります。

人類は、長らく地球最強の生命体として君臨してきていますが、地球の歴史を見ても、永遠に人類の時代が続く事は、極めて考え難い事です。いずれ人類が、覇権を次世代に渡して行く事は、摂理であるかもしれません。しかし、そうであったとしても、人類は総力を挙げて、現在の人類の地位を、祖先の為にも子孫の為にも、出来る限り長期に維持し続けて行く責務が有ります。人類の果てなき探求心と叡智が、人類の次世代を自らの手で作り出してしまう愚挙は、何としでも避けなければならないと思料する次第です。